きいちゃんの浴衣
お姉さんが結婚するの
きいちゃんは結婚式でるのはじめて
たのしみだな お姉さんの結婚式
お母さんが言いました
きいちゃん
お姉ちゃんの結婚式には でないでいてね
きいちゃんは
小さいときの高熱で
手足が不自由な 養護学校高等部の生徒
お姉ちゃんが 肩身の狭い思いをするといけないから
だから きいちゃんは 結婚式にでないでいてね
かなしい気持ちのきいちゃん
大好きなお姉さんの結婚式
でたかったのに
たのしみにしてたのに
養護学校の 山元先生が言いました
きいちゃん お姉さんにプレゼントを作ろうよ
真っ白な布を 夕日の色に染めて
浴衣を作って きいちゃんのプレゼント
針で指を刺して 血で染まった
練習用の白い布
不自由な手で一生懸命に縫って、縫って
「体をこわすわよ」
「お姉ちゃんへのプレゼントだから・・・」
きいちゃんは
不自由な手で一生懸命に縫って、縫って
できあがった浴衣をお姉さんに送った
二日後
山元先生にお姉さんから電話
「きいちゃんと一緒に式に出席してください」
幸せそうなお姉さん
でも、きいちゃんの姿見て
ひそひそ話する人も
やはり 出席しない方がよかった?
「お色直しのために新婦が退場いたします」
お姉さん 何に着替えてくるのやら
夕日の色の浴衣着て
きいちゃんのつくった浴衣着て
お色直しのお姉さん
みんなの前に現れた
お婿さんとふたりして
マイクの前のお姉さん
みんなに向かって 言いました
この浴衣を見てください
手足の不自由な妹が
こんなに立派な浴衣を縫ってくました
妹は私の誇りです
拍手が式場包みます
きいちゃん笑顔を見せました
感激の 涙を流すお母さん
笑顔はじけたきいちゃんに
涙にむせぶ母さんに
幸せのお裾分けです
姉さんからの
第46回青少年読書感想文全国コンクール
毎日新聞社賞