POEMS 中村叶の詩
白いチューリップ

小さな妹の手をひいて
小学生の男の子
千円札をさしだした
花、ください  花束ちょうだい

だれにプレゼントするの?
おかあさん!
おさない妹のかわいい声

母の日に
お母さんあげるチューリップ
かわいらしい妹と
小学生のお兄ちゃん
千円札をにぎりしめて
買いにきた

幸せな家庭
幸せなお母さん
幸せな兄と妹
ほほえましい光景

店員は納得して
赤いチューリップを
束ねだした


だめだよ、白いチューリップだよ
えっ?
おかあさん、死んじゃったから・・・
白いチューリップじゃないとだめなんだ


















POEMS 中村叶の詩


店員は
しばし 言う言葉を失い
しかし ウン、ウン と
うなづいて
店にあった白いチューリップ全部
二〇本ほどを
花束にした

丁寧にラッピングをして
大きな白いリボンをかけて

花束と
おつり(!)の百円
手渡され

小学生の男の子
一瞬 不思議そうな顔
小さな妹はあどけない笑顔

大きな声で「ありがとう」
かわいい声も「ありがとう」

身体から
はみでるくらいの
大きな花束
白いチューリップの花束
かかえた小学生のお兄ちゃん
小さな妹の手をひいて







<「虹の架橋」は群馬県大間々町の洋品店・足利屋,さくらもーる「アスク」が発行する地域情報紙のタイトルです。いろいろな活動を通して出会った心温まる話題や地域情報を満載して毎月1日に発行しております。>という『虹の架橋』に連載の『小耳にはさんだいい話』第12話「白いチューリップ」を詩にしてみました。
第12話のはじめとおわりを紹介しておきます。
「先日、茨城県の友人からの手紙で、とても心温まるいい話を聞きました。」
「手紙を読んで私も感激でした。そしてその花屋さんの店員さんの心配りや、やさしさを見習いたいとも思いました。」


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