シャボン玉

子どもがほしかった
けれど 子宝に恵まれなかった

待って、待って、待って
八年目にコウノトリがやってきた
かわいい、かわいい 女の子
目の中にいれてもいたくない
待ちに待った子ども

かわいがって、いとおしんで・・・
子どもは二歳になった

伝染病!
どうしてうちのかわいい子が?
なんで いなくなってしまったのだ!?
そんなのってないよ
いやだよ

酒におぼれる毎日
人生の不条理に 恨み言をいいながら
どうして、うちのかわいいあの子が
あんなにおさなくして 死ななければならないんだ!

いつものように酔っぱらって
寝入って
夢にかわいい、いとしい わが子を見た
かわいそうに
泣いていた

夜半に目覚めて 自分を叱った
こんな いくじなしのお父さんじゃ
天国で あの子にあわせる顔がない

お父さんは歯をくいしばって 悲しみに耐えたよ
お前の分まで 一生懸命に生きたんだよ
天国で わが娘に そう言ってやりたい

いまのままじゃだめだ 
悲しみに負けているようじゃだめだ

シャボン玉消えた 飛ばずに消えた 
生まれてすぐに こわれて消えた
父の無念な気持ちを 詩に託した
か〜ぜ か〜ぜ ふ〜くな〜

いとしいわが子は
生まれてすぐに こわれて消えた
風よ吹くな 風よ吹くな

お父さんは 屋根まで飛ぶよ
お父さんが
屋根まで飛んで こわれて 消えた ときには
天国であおうね

人生の不条理に涙しながら それでも 人は命をつないでいく
いつか こわれて消える命でも
シャボン玉は  精一杯  屋根まで飛ぼうとする

か〜ぜ か〜ぜ ふ〜くな〜 しゃ〜ぼんだ〜ま〜 と〜ば〜そ〜



「七つの子」や「青い目の人形」で有名な童謡作家の野口雨情>の実話にもとづきます。

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