親子の季節        

ずいぶん昔の話である
大学に行きたいと思っていた

高校卒業後就職させようと思っていた父は
わたしが大学を受験するのに
いい顔はしなかった
大学受験をしぶしぶ承知はしたのだが
九州大学以外はダメだ
と言って譲らなかった
 
九州大学は国立の難関校である
父はおそらく
九大ならば必ず落ちる
と考えたのだろう
 
休日には
わたしを無理矢理畑に連れて行った父
「父は不合格を望んでいる!」
わたしは父を恨んだ

父の態度がわたしを奮起させた
「このくそおやじ
 見ていろよ
 絶対に九大に合格してやる」
心の中で叫んだ

入試が終わって
家に帰っても
父は
「ゆっくり休め」とも言わず
わたしを畑に連れ出した
わたしはますます父を恨んだ

発表の日が来た
わたしは昼間から
おんぼろラジオのチューニングをし
チャンネルをあわせた
 
夜の11時
わたしは布団に入って
固唾をのんで
ラジオの声に耳を傾けた

じきに自分の名が呼ばれた
「やった〜」
と、思わず声を挙げていた
 
時をうつさず
万歳!
の叫び声が隣の部屋から聞こえてきた
父の声だった
驚いて父のところへ行くと
父の眼には涙が光っていた

父は私の手をしっかりと握り
声をあげて泣き出した
 
そのときはじめて
わたしは父の本当の心を見たような気がして
心の中で父に謝った
 
受験シーズン
それはまさに「親子の季節」である

<「虹の架橋」は群馬県大間々町の洋品店・足利屋,さくらもーる「アスク」が発行する地域情報紙のタイトルです。いろいろな活動を通して出会った心温まる話題や地域情報を満載して毎月1日に発行しております。>という『虹の架橋』に連載の『小耳にはさんだいい話』第67話「親子の季節」を詩にしてみました。http://www.sunfield.ne.jp/~yachan/niji/

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