POEMS 中村叶の詩

 
I CAN わたしは・・・できる
〜ミス・アメリカ1995の物語〜

1974年9月14日
アメリカ・アラバマ州ドーソンの病院に
1歳半の女の子がかつぎ込まれた
原因不明の高熱
女の子の名前はヘザー・ホワイトストーン

40度もの高熱で
2週間にわたって生死の境をさまよったが
2種類の抗生物質に命を救われ
無事に退院して
家族とクリスマスを迎えられた
だが
ヘザーの耳はほとんど聞こえなくなっていた
抗生物質の副作用

診断によると
右耳は全く聞こえず
左耳のみが5%の聴力を残していただけ
専門家によれば
残された左耳の5%の聴力では
あかさたなはまやらわ…
すべての音を聞いても
あいうえおだけ、5つの母音のみは聞き取れるが
他は間違えてしまうような状態
つまり
ほとんど聞こえないに等しいのだった

医師は言った
ヘザーはもう普通の人生は送れない
うまくしゃべることもできない
小学3年生以上の教育にはついていけない
自分で車を運転することもできないだろう

娘ヘザーの将来を思い
母ダフネと父ビルは
絶望の思いだった

誰もが思った
言葉を覚える前の幼児が
片耳の聴力5%だけで
普通の会話ができるようになることは不可能だ

母ダフネはヘザーに手話を習わせず
もっとも困難な方法「聴覚法」を選んだ
言葉でのコミュニケーションを
可能にしてやりたい
母の思いがもっとも困難な道を選ばせたのだった

「聴覚法」とは
できるだけ視力にたよらずに
かすかな音を判別できるようにする方法

ほとんど聞こえぬ音だけをたよりにする
聴覚法の訓練
幼いヘザーに
厳しくつらい過酷なものだった
最初は「ダ・ダ・ダ」など音を出すことから始め
少しずつ言葉を覚えて
それから
本格的なスピーチを学んでいくという方法
母子の訓練は毎日続いた

同じ口の動きでも発音の異なるものがある
わずかに母音を聞き取ることがやっとのヘザーが
それらを聞き分けることは困難だった
壁が立ちはだかった

この壁を乗り越える唯一の方法は
舌の動きを読みとること
普通の単語の聞き取りでさえ
何百回もの練習が必要なのに
舌の動きを読み取ることまでもが
舌の動きの違いを覚えることまでもが
要求された

わずかに残る聴力を衰えさせないため
母ダフネはヘザーの背後から話しかけた
口が見えないようするためだった

最も難しかったのは
言葉の間にある「t」の音
ほとんどが流されて発音されるので
聞き取りづらいのだ
自分の姓ホワイトストーンにも
「t」が二つ含まれる
ヘザーは
自分の名前を言えるようになるまでに
六年を費やした

母はヘザーにバレエを習わせた
音楽に合わせて踊る?
耳の聞こえない子が?
それは無理なことのように思われた

ほんのかすかに聞こえる音楽で
リズム感がつかめるのではないか、と
母は考えた
バレエはその後
ヘザーの大きな支えとなった

話せるようになっても
ヘザーはしばしば身振りに頼ろうとした
母ダフネは
ちゃんと口に出していいなさい、と
厳しく指導した
ヘザー

ヘザーには母の愛情がわかっていた
厳しい訓練も
すべて自分のため
、と
わかっていた

まだ耳が聞こえたころ
母はいつも 
I love you.と言っていた
訓練の間も、母は
何度も何度も
I love you.と言っていた
ヘザーはI love you.と言うことができた

ヘザーは明朗快活な
美しい少女に育った

小学校に入学した当時
ヘザーの覚えていた単語数は
他の子の10分の1ほどだった
でも、

高校は手話通訳なしで優秀な成績で卒業
運転免許は
16歳の誕生日に最初の試験で合格
障害を持たない二人の姉妹は
最初の試験では合格できなかったのに


ヘザーが高校に入学するころ
両親が離婚した


                 つづきへ

POEMS 中村叶の詩
                
                中村叶からひとことへ

ヘザーは母親に引き取られた
ヘザーの特別な教育に貯金を使い果たして
母には
ヘザーを大学に入れるほどの
経済的余裕はなかった
それを知っても
ヘザーは明るさを失わなかった

耳の聞こえない友人と話すために
手話も身につけた
ほんのかすかな音を聞き
相手の唇を読むことで
誰とでも話せ
ヘザーの日常生活に不自由はなかった

聞こえない人の世界と
聞こえる人の世界の架け橋になりたい
ヘザーは夢を持つようになった


地域のこどもたちへのボランティア活動も
熱心に行った
厳しくつらい訓練を経て
不可能といわれた会話を修得した経験から
5つの☆(星)からなる
成功と夢の実現プログラムを考案し
それを子どもたちに伝えようと努めた

Success Through Action and Realization of your dreams(行動と夢の実現を通しての成功)
STARSというプログラムがそれだ 

☆前向きな姿勢を保つこと
☆夢(目標)を持つこと
☆努力をいとわないこと
☆困難と向き合うこと
☆自分をサポートしてくれる仲間を作ること


STARSは地元の小学校に
取り入れられるようになった

聞こえない人の世界と
聞こえる人の世界の架け橋になる

夢の実現のためにも
大学に行って勉強したい

という思いがあったが
これ以上母に負担はかけられない
その思いを口にすることはなかった
(大学で勉強する夢はのちに叶う)

「ミスアラバマコンテストに出ないの?」
自分なんて無理よ
友達とヘザーの会話を小耳にはさんだ
先生が励ました
ヘザー、無理じゃないわ。
 あなたのスローガンにもあるでしょ?
 
夢を信じて進むって
 あなたのような障害を克服した人が
 コンテストにでて
 その存在を知ってもらうことこそ
 みんなの励みになるんじゃない!」

コンテストで優勝すれば
聞こえない人の世界と
聞こえる人の世界の架け橋になる
夢に一歩近づける
ヘザーに新たな夢ができた


アメリカのミスコンテストは
容姿の美しさ、特技、スピーチで
総合的に審査される
容姿の美しさだけでは
優勝はできない

ヘザーの行く手には
また大きな壁が立ちふさがった

普通の日常会話が出来ても
音が聞こえないので
微妙なニュアンスの聞き分けができない
魅力的なスピーチのためには
より一層の訓練が必要となった
再び母との猛訓練が始まった

小さい頃から習ってきたバレエ
コンテストで特技として披露するのは
バレエしかなかった
バレエの特訓
様々なリズムを身体にたたき込んだ
どんな質問にもよどみなく答えるために
練習につぐ練習

しかし、
コンテストでは
審査員の質問が即座に理解できず
2年続けて落選
でも、ヘザーはあきらめずに
3度目の挑戦をした。
夢を信じて行動するのよ

ほとんど聞こえないに等しいような音を頼りに
リズムを身体と一体化させて踊る
ヘザーのダンスは
人々を魅了した
スピーチも魅力的なものだった
ヘザーは夢を信じて行動して
ついに3度目の挑戦で
ミス・アラバマの栄冠に輝いた


各州の代表が出場するミスアメリカコンテスト

いずれ劣らぬ美貌と、魅力と、能力の持ち主
美しさと魅力と特技と能力をもつ人々にまじり
ヘザーは出場した
1994年のことだった

ヘザーのバレエは観衆の大喝采に包まれ
質問へのヘザーの応答は
堂々としていて
観客を魅(ひ)きつけた

ヘザーは
準ミスとミスを決める
最終ステージまで勝ち残った

1994年9月17日
ひとりの少女が
ミス・アメリカ1995に選出された
ヘザー・ホワイトストーン
その人だった


「母は いつもわたしに 言いました
 あなたには できないことはない
 あなたは できる
 なぜなら あなたは American だから
 あなたは<Amer
I CAN>なのだから」
 
神は
実現できないような夢を
あなたに見させたりはなさいません

On September 17, 1994, Alabama's Heather Whitestone became the first woman in history with a disability to be crowned Miss America. When Heather was eighteen months old, she suffered from the Haemophilus influenza virus and lost all hearing in both ears. Heather overcame her obstacles, however and followed her dream to become Miss America 1995. During her year of service as Miss America, Heather focused on motivating our nation's citizens to set and achieve their goals through the S.T.A.R.S. program. http://premierespeakers.com/372/index.cfより(ヘザーの写真も同ページでご覧ください)
1994年9月17日アラバマ州のヘザー・ホワイトストーンは、ミス・アメリカの冠を戴く史上初の障害を持つ女性となった。ヘザーは、生後1年6ヶ月のときインフルエンザ菌に罹患し、両方の耳の聴力を完全に失ったが、多くの壁を乗り越え、ミス・アメリカ1995になるという自らの夢に従った。STARSプログラムを通じて自らの目標を設定し、それを達成すること――ミス・アメリカとして働いた期間ヘザーが関心を集中させたことは、このことにわが国(訳注:アメリカ)市民を動機付けることであった。(訳:中村叶)

 中村叶からひとこと
あなたには できないことはない / あなたは・・・できる / なぜなら あなたはこの詩を読んだのだから / あなたは CAN CAのうNaかむらの読者だから/ あなたは 能力無限かのうクラブ(I CANクラブのメンバーだから / この詩を読んだ人はみな「能力無限かのうクラブ」=I CANクラブのメンバー / わたしは・・・できる(=I CAN./ なのに あきらめてはいませんか? / 努力を放棄してはいませんか? / 夢を信じて I CAN. / すべてはカノウだ / 夢は 

  注:無限=Infinityですから、能力無限かのうクラブ=I CANクラブ

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