博多弁の天使
 

天使の声が聞こえたよ
きれいな声じゃなかったよ
すこししわがれた声だったよ
博多弁でしゃべったよ
「ゆっくりでよかとよ」 

バス停にバスが停まった
降りしきる雨の中
しばしあって、 バスは発車するところだった 

と、そのとき 
腰の曲がったおばあさんが
手には大きな荷物と傘を持ち
よたよたと立ち上がった 

足もともおぼつかない おばあさん
荷物と傘とをもって
床は濡れているし
ステップも滑りやすくなっている 

乗客はみな 息をのんだ
危ない! ここでバスが発車してしまったら・・・ 

そのとき 天使の声が聞こえた
きれいな声じゃなかった
すこししわがれた声だった
博多弁でしゃべった
ゆっくりでよかとよ バスは動かさんから・・・

乗客たちはみな
天使の声に 安堵の笑みを浮かべ 
運転席の 博多弁をしゃべる 天使の背中に
感謝の 視線を投げた


<「虹の架橋」は群馬県大間々町の洋品店・足利屋,さくらもーる「アスク」が発行する地域情報紙のタイトルです。いろいろな活動を通して出会った心温まる話題や地域情報を満載して毎月1日に発行しております。>という『虹の架橋』に連載の『小耳にはさんだいい話』第23話「天使は博多弁だった」を詩にしてみました。http://www.sunfield.ne.jp/~yachan/niji/



POEMS 中村叶の詩
         
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